財政再建団体の公共図書館
北海道新聞【幼稚園教諭ゼロ 救急救命士半減 大量退職、市政を直撃 夕張】
2007年度より財政再建団体となる北海道夕張市がまとめた再建計画の衝撃で,定年退職以外の早期退職者が想定をはるかに上回る事態に陥った,という話です.その再建計画の基本的枠組み案の中で公共図書館が2007年度に廃止されることについて,図書館業界から疑問の声があがっています.業界の衝撃と不安はわかりますが,僕が見たところ,夕張市のこの状況では公共図書館どころの話ではないんじゃないでしょうか.小学校・中学校も全市でひとつに統合,美術館も廃止,市営球場にテニスコート,駅のトイレ(!)さえ閉鎖に追い込まれるんですから.おまけに住民の負担は大幅に増加するとなったら,誰だって逃げ出しますよ.市役所も今なら退職金を何とか払ってくれると言う訳だし.手に職持ってる専門職がいなくなるのは理の当然ですね.
そんな中でも,文化的な基盤を何とかしたい市民は立ち上がって活動しています(北海道新聞【炭鉱遺産、映画祭保存へ寄付を 夕張市民有志、条例目指し署名】).これが本当の「地方自治」なんじゃないかと思うのですよ.地域振興には地域の自助努力が不可欠とはいえ,いきなり最初から資本の投下なくして立ち上がることも難しいのですから,まずは基礎体力から,というところでしょう.
図書館業界も,財政再建のために公共図書館が切り捨てられるのがイヤだと主張するのなら,何らかの手段を講じなければならないでしょうが,『市民の図書館』派が牛耳る業界主導の運動は,恐らく「市立図書館の廃止に反対する請願」を出すくらいが関の山なんじゃないかと,これまでの越し方を見ていると想像できます.ましてや人的資源の投下など,するはずもないでしょうね.犬や猫の危機なら怪しげでもボランティア団体が出現するのに,公共図書館の危機には老舗の団体もこーゆうところに触れようともしない.口先ではごにょごにょ言っていても,連中は大都市圏の公共図書館の盛衰しか興味が無いようですから(石原慎太郎の発言を批判した『市民の図書館』派の図書館系blogが夕張市に反応しているかどうか,興味のある方は確認してみるといいですよ).『市民の図書館』派はボランティアとか非正規職員とかも十把一絡げで否定しているので,ボランティアを組織して夕張市に乗り込む,などという芸当は期待できませんかそうですか_| ̄|○
近所に司書課程を設けている大学でもあれば,大変だろうとは思うけど,学外実習機関としてふたつとない公共図書館じゃないかと思うのです.もっとも,そーゆう発想はお役人(≒公務員公共図書館員)からは出ないでしょうねえ(^^;).
さても難しい問題ではあります.
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