わが異端の昭和史
石堂清倫(いしどう,きよとも,1904-2001)は,戦前は三・一五事件や満鉄調査部事件で検挙された経歴を持つ.満鉄では図書館にも勤務している.戦後はアントニオ・グラムシを日本に紹介した.党中央とは終始,そりが合わなかったようである.
この本のタイトルには「異端」という言葉が用いられているが,この言葉を自ら用いるひとは常識人であるのが通例で,石堂もその例に漏れない.しかし,監獄暮らしも敗戦後の満洲での苦労も党の圧力も決して声高に叫ぶことなく,淡々とその有様と対処を記述していくのは,並大抵の精神力でなしえる業ではないだろうな.
なお,石堂の図書館に対する慨嘆が上巻291頁にあるので,興味のあるひとは覘いてみることをおススメする(^^;).古き良きエリートの図書館への見方は,右も左も関係ないものらしい.
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