ベートーヴェン/「熱情」
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調作品57「熱情」@エリー・ナイ(コロッセウム:9025-12.2)
1967年録音.ベートーヴェン弾きとしてアルトゥール・シュナーベルに継ぐ存在であったが第二次大戦後はナチ協力者として不遇だったエリー・ナイ(1882-1968)最晩年の演奏である.
ピアニストとしての技巧は80歳過ぎのピアニストのそれとしてはまずますと言うところ.録音のせいもあるのか,ピアノが響かないし,トレモロなども音の粒が全然揃ってないのは素人が聴いてもわかる.第3楽章など意余って力足らずなところさえ聴こえる.ところが,ここで奏でられている音楽は,録音だの技巧だのを吹き飛ばしてしまうほどの圧倒的な表現力で,不思議なくらい聴く側に迫ってくる.「老いの執念」などと言う無かれ,ここに聴ける音楽の有様は「老い」どころか実に若々しく,ベートーヴェンが30代で「アパッショナータ」を書いたことを想起させるに充分なものなのだ.
・・・ちょっと誉め過ぎたかな(^^;).
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