親の所得で学力に差?
読売新聞【親の所得で学力に差?「YES」が75%…読売調査 】
「図書館サービスの有料化」を熱心に説いてらっしゃる方々は,このニュースを何と読みます(^^;).公共図書館の利用が無料であることは「機会の平等」を保障している,と何度か書いているところですが,こーゆう記事を読むとますます図書館法第17条が貴重なものに見えてきます.
「有料化」論者が往々にして間違えるのは,公共図書館が保障する「平等」を「結果の平等」だと捉えているところでしょう.これは貸出至上主義者の誤りでもあり,戦後民主主義の負の遺産だともあります.何しろ「貸出」という,物理的なものの移動を基本とするサービスは結果がすべてですから,どちらがニワトリでどちらが卵かはともかく,「結果の平等」を平等として捉える戦後民主主義の考え方にはよく合致していたと考えられます.
で,【愚智提衡而立治之至也: 公共図書館が保障するもの】で僕はすでに公共図書館は「機会の平等」を保障するところなんだよ,ということを既に述べているわけですが,それでも「有料化」を言い出す輩が後を絶たないのは,この国においては公共図書館が機能する大前提としての「近代市民社会」がついに成立しえず,間接民主制も「知る権利」も根付きえていない,ということを意味するんでしょうか? お上が公共図書館に関する政策をドラスティックに転換しない限りは,下からの公共図書館の機能改善など見果てぬ夢だと言うわけですか.
僕は図問研や日図研の政策を支持するひとに,お尋ねします.あなた方がこれまでやってきたプロパガンダやデマゴギーやレトリックは,結局何の役にも立っておらず,あなた方の貸出至上主義が専門職を軽視してきたツケが,公共図書館の委託,指定管理者制度や有料化の導入を推す声になって回ってきたんじゃないんですか,と.
「公共図書館が誰にも無料で利用できることは,我々が民主制を維持するためには必然のコスト」であるとするなら,「貸出」よりも大切なサービスがあるんじゃないんですか?
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