「国亡びんとすれば,法を定むること多し」
朝日新聞【「読み聞かせ」に細かい注文 著作権めぐり作家ら】
【児童書四者懇談会作成 手引き「お話会・読み聞かせ団体等による著作物の利用について」】(リンク先は無茶苦茶重いpdfファイル)
すっかり出遅れてしまったネタですが,一応周囲の反応などご報告.
児童書四者懇談会に好意的な反応はひとつも無し.どうすればこんなに重いんだ,と言うpdfファイルも含めて「みんな自分の作品を多くのひとに知ってもらいたくないんだね」という声ばかり.「大型本の普及が遅すぎるし,値段も高い」という,基盤整備を疑問視する声もありました.
個人的には『春秋左氏伝』昭公6年条にある,鄭の宰相子産が鼎に刑法を鋳た話を思い出します.「国亡びんとすれば,法を定むること多し」とか.それはこの件に限らず,教育基本法改訂でも,共謀罪の新設でも変わるところはありませんが,この「読み聞かせ」を廻る,一見天下国家と関係の無い「当世の手当て」の方が,「著作権ファッショ」という亡国の音なんじゃないかという思いがします.
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コメント
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まず、図書館とイデオロギーについて
戦後民主主義はどうしても敗戦によって与えられたという側面が強く、民主主義を支えるイデオロギーが定着していない。
「図書館の自由」があまりにも完結的過ぎて、それも自ら勝ち取ってきたというより、お膳立てされた思想だから、図書館界に根を張るという前に理念だけが先走りしすぎたのでは。気がついたら、ほとんど現場では意識されなくなっている。
現下の厳しい社会経済状況の中で、単に市民のニーズが高いというだけでは図書館は維持できなくなってきています。体育施設もコミュニティー施設も有料化されてきている今日、有料化を前提とすれば別ですが。
貸出至上主義は確かに一つの役割を果たしてきたと思います。しかし、DORAさんか誰かが言ってたけど、今までは貸出数が高い=市民ニーズが高い=予算がつく、という構図だったけど、貸出数が高い=資料が多くある=予算は足りている、という構図で予算削減につながっています。
やはり、私は、図書館の原理的役割=戦後民主主義の支えという構図がしっかりとできないと、図書館の有料化か衰退のどちらかになるしかないと思います。
それと、読み聞かせや絵本などの表紙の写真を載せることが著作権法上問題となるという話。
ある意味では当然の話でしょ。同じ意味で図書館資料を貸し出すことも。これが公貸権の問題でしょう。現にAV資料については、著作権分が別途に上乗せされている。
しかし、そんなこといってたら本も絵本も売れなくなるでしょう。いわば図書館が本の宣伝をしているわけですから。図書館に収書される分だけでも全国規模で言えば大変なものです。このバランスも考えて、しっかり法の整備が必要と思います。
絵本の読み聞かせをしたことによって、○○円の損害があった、そんな立証は絶対にできない。だから本来は訴訟にならない。しかし、著作権法では、著作権違反については、損害の立証がいらない、このあたりが本当に厄介な話です。
つまらないことに神経を使うことにうんざりします。
投稿: matsu | 2006/05/16 23:08