「図書館」間の機能分化(おさらい)
僕は大半の公共図書館関係者が,「図書館」という言葉を無意識のうちに公共図書館,あるいは公立図書館と同義に用いているのに反発を感じていて,このblogに限らず自分で使用するときはくどくなるのも厭わずに「公共図書館」「公立図書館」「大学図書館」「専門図書館」という館種を明示してきたつもりである.
実は,それでもまだ充分ではなかった(^^;).tohruさんの【県立図書館分館の市立化】【足利市の市立化反対】が明らかにしているように,公共図書館を論じるにおいては「都道府県立図書館」と「市町村立図書館」の間にも,明確に分化された機能があり,これらを地方自治体という基盤故に同一視して「公共図書館」というカテゴリーで語ることには,もはや無理があるのではないか.
このことは,公共図書館業界人には恐らく自明のことであり,このようなことを書いていると日図研や図問研の関係者は「何を今更」と嘲笑を投げつけられそうである(^^;).しかし,tohruさんが引いている新聞の記事においては,どうだろう.業界人が嘲笑の対象にできるほど,都道府県立図書館と市町村立図書館の間にある機能の分化が,記事に登場するひとたちには明確に認識されているだろうか.
あるいは,塩見昇が自らの論証を固めるために用いるステレオタイプであるところの「研究者と県立図書館の関係者」vs「市町村立図書館の関係者」という図式.この図式は僕が以前も指摘したようにそもそも有効ではないのだが,この図式は都道府県立図書館と市町村立図書館の機能の分化が確立している,というのが前提になっているはずであろう.そんな前提は,業界人の狭いサークル内ならともかく,一般には前提として全く機能していないんじゃないか.
(この項未完につきこちらに続く)
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» 「図書館」間の機能分化(おさらい)続き [愚智提衡而立治之至也]
【承前】 恐らく,そうではあるまい.記事の登場人物たちは,都道府県立図書館も [続きを読む]
続きが楽しみです。
こちらの記事へのトラックバックに失敗したので(途中稿だからですか?他のcocolog相手では問題なかったのですが…)、私の関連書き込み先です↓
http://sakuraya.or.tp/blog_t/index.cgi?no=95
投稿: tohru | 2006/03/14 12:33
>>tohruさん
コメントとエントリー,感謝ですm(_)m 続きを書いて一応,完結させましたのでお暇なときにでもご覧いただければ幸いです.
何というか,図書館業界には向こう10年を見据えた政策も無ければ,当面の戦略・戦術も欠如しているという,異常な状況にあるような気がします.この状況で「バラバラでいるよりも図書館職員が日図協に参集し事に当たる方が建設的だと思うのですが」と言われる方もいらっしゃるものの,当の日図協が真っ当に機能しているとも見受けられず,取り敢えずはコツコツblog書いております.blogの方が「図書館雑誌」よりも業界外に開かれてますし(^^;).
投稿: G.C.W. | 2006/03/14 22:12
TBですが,こちらは受け取り拒否設定にはしてませんので,ココログのシステムの不調じゃないかと思います.何しろ,このところココログは不調続きでして(-_-;).
僕のところだけ受け付けない,というのもヘンですが,昔ココログの中の人とテンプレートのことでやりあったのを,ココログに根に持たれているとか(^^;)あるかもしれません<<それは無いでしょうが.
投稿: G.C.W. | 2006/03/14 22:16
TBは、私の方に責任があるかもしれません。何せ@niftyの親会社とは長年にわたり公私で戦い続けてますので(笑)IPブロックされているかも?また失敗しましたらコメント欄で代用させていただきます。
それにつけても、公務員に「超公務員的」だと思わせるあの会社の体質、何とかなりませんかね、ほんとに…度重なるココログの障害と手際の悪い対応を見ても、またか、としか思えなくなってしまいました。(←こういうことを書くから、ますますはじかれるんじゃ…)
投稿: tohru | 2006/03/16 10:00