「役に立つ公共図書館」の呪縛
「図書館の学校」2006年2月/3月号(No.69)のトピックは「追跡! “変わる”図書館」.昨年の11月に行われた公開討論会の模様がダイジェスト(?)で収録されている.この討論会,「貸出至上主義」な連中からは大ブーイングが起きること請け合いの内容なのでぜひご一読を.僕は,至極当たり前のことを言っているだけだと思いますがね.
しかし人選が不満(^^;).ここに日本図書館研究会読書調査研究グループのひととか,先だって「関東の図書館人の沈黙は異常だ」と書いたひととか連れて来ればよかったのに.どちらも,相手の土俵には絶対に載らずに嫌味ばっかり言い合っているだけだから,ちっとも議論が成立しないし,まして噛み合うことも無い.そんなことばかりやっている内に,この業界は「手遅れ」(2頁)になってしまっているわけだ.
それにしても,一部の発言者の志向が「役に立つ」へ「役に立つ」へ向かっているのが,ちと気になる.役に立たなきゃいらない,と言うのなら,そりゃ小泉純一郎が進めている「改革」とやらと発想が同じだってば(-_-;).しかも,それは「貸出至上主義」と同じレベルで発想が同じってことですよ.糸賀教授の発言を読んでいると,このひとが言う「ビジネス支援」は「貸出至上主義」と,「役に立つ公共図書館」という点で同一の地平に立つものでしかないような気がするし,それは容易にファッショに転化するものであることは既に僕が指摘済み.
で,あちらもこちらもひっくるめて業界にしっかりと根付いている「図書館原理主義」を,どのように解体し新しい図書館業界の地平を獲得するか,ってのが僕の永遠のテーマ(また,大きく出ましたね)だったりするのだが,さて.
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はじめにお断りしておきます.当blogの【図書館】カテゴリーは,単独のエントリ [続きを読む]
↓このコメント主あたり,この座談会読んでどういう感想をいだいているんでしょうね(^^;).
http://motto-library.cocolog-nifty.com/main/2005/02/22.html#c1749611
そういやこのひと,↑このコメントで他人に犯罪を教唆したことへの弁明なり謝罪なりが1年経ってもありませんが,公務員擁護という「目的は手段を神聖にする」んでしょうか?
http://jurosodoh.cocolog-nifty.com/memorandum/2005/03/post_3.html
↑これを読んでいないはずがないので,何らかのお答えがあるものとお待ちしていたのですが(^^;).あのような,頓珍漢とも素っ頓狂とも思えるコメントを他人に投げつけておいて,自らの言葉についての責任には頬かむりされるとはねえ.
もはや個人情報保護法も完全施行になり,個人情報保護が公務員擁護の錦旗たりえぬ現状で,今ではいったい何を以って彼は仕事しない公務員を正当化しようとしているのでしょうね.
知りたいことはたくさんあります(^^;).
投稿: G.C.W. | 2006/02/27 22:51
すみません、こちらで記事に加筆したらTBがダブって流れちゃいました。お手数ですが削除をお願いします。
投稿: dora | 2006/03/01 06:14
>>doraさん
了解です.削除しときます.
投稿: G.C.W. | 2006/03/01 19:11