仙台市立図書館 指定管理者制導入を検討
河北新報【仙台市立図書館 指定管理者制導入を検討】(記事閲覧には会員登録[無料]が必要です)
僕は,指定管理者制度の導入そのものには,日図研や図問研の如き偏頗な反対はしませんが,この記事↓のトーンはちょっと気になります.
仙台市内には青葉区の市民図書館のほか、広瀬、宮城野、榴岡、泉、若林、太白と計7カ所の市立図書館がある。正職員数は計80人で、1施設当たりの配置数は他の政令市の2倍以上となっている。嘱託や臨時職員も約70人いる。
2004年度決算によると、7施設の年間収入総額は391万円で、支出総額は13億7000万円。赤字分は市費で補てんしており、負担率は99.7%に達している。支出の58%は職員給与など人件費が占める。
恐らく公共図書館の機能について無理解な仙台市の当局者が出した資料に基づき,公共図書館について不勉強な河北新報の記者が記事化したんだろうと想像しますが,新聞記者が公共図書館に対しこの程度の理解しかしていないようでは,新聞は民主制を崩壊させるだけですね.
だいたい,公共図書館の「赤字分」って何ですか(^^;).公共図書館は図書館法第17条で「対価を徴収してはならない」と定められているわけで,本来収入などあるはずがない組織であり,そもそも「補填」という発想がありえないはずなんですけど.
それに,公共図書館における正規職員数が多いことは,民主制の維持と発展を自己の存在意義としているはずの地元メディア(新聞)にとっては賞賛の対象であってこそすれ,攻撃の材料であってはならないものですが,それを攻撃の材料にするとは不勉強極まりないと思います>>河北新報.
それにしても支出総額が年間17億3千万円だって言うけど,総額2735億円も注ぎ込んで開通後は赤字間違いなしと巷間囁かれている,建設中の地下鉄東西線に比べれば何ほどのものでもないんじゃないかと思うんだけどねえ(sigh).
「民主制の基盤としての公共図書館」を認識させるのは,所詮は見果てぬ夢か.
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コメント
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...う〜ん、この記事はひどすぎる。
図書館が、赤字たれ流しの...第3セクター並みの経営...みたいな書き方をされるとは....
怒り半分...ただ、もう半分は図書館運営を行政支出だけに頼れなくなった...という感じもします。
これは急いで、「儲かる図書館経営」を考えなければ...。
投稿: maru3 | 2005/12/03 00:44
ものすごく心外な書かれ方ですね。
結局、見た目の利益と財政再建にしか関心が無いのですよ、財政当局は。
投稿: dora | 2005/12/03 07:04
>>maru3さん,doraさん
お返事遅くなりました.このところ風邪が酷くて,自エントリーあげるだけで手一杯だったものですから,失礼しておりました.
どうもこの記事,情報源が極端(財政当局と図問研宮城支部,くらいに)なんじゃないかと思ったりもするわけですが(この程度の記事しか書けない記者が,堺の反対運動にまで目配りが利いているとは思えない),民主制の基盤に敏感でなければならない新聞が,この程度であるなら,公共図書館はとっとと自立の道を模索した方がいいと思います.
新聞記者からは当然,多額の寄付を(以下自粛)(^^;).
投稿: G.C.W. | 2005/12/06 21:45