早坂文雄/ピアノ協奏曲
早坂文雄/ピアノ協奏曲ほか@岡田博美&ドミトリー・ヤブロンスキー/ロシア・フィル(ナクソス:8.557819J)
近頃書籍(『黒澤明と早坂文雄』筑摩書房)も出版されて,時ならぬルネサンスが起こりつつある気配の早坂文雄(1914-1955).G.C.W.氏は随分前から,早坂の遺作となった交響的組曲〈ユーカラ〉のCD(山田一雄/日本フィル,フォンテック:FOCD3162)を所持しているが,これは曲がダメなのか演奏がダメなのか相性が悪いのか,何度聴いてもつまらない.このピアノ協奏曲も,常々ナクソスの〈日本作曲家選輯〉を応援しているから購入したようなもので,あまり期待はしていなかったのだが,聴いて吃驚,である.〈ユーカラ〉の如き「しんねりむっつり」が身上だとばかり思っていた早坂の絶対音楽に,ピアノ協奏曲のような作品があるとは思いもよらなんだ.ただこの方面は,のちに芥川也寸志などが全面展開する作風でもあり,この方面に見切りをつけて早坂独自の「しんねりむっつり」の世界を構築したことが,後の世代の作曲家たちに多大の影響を及ぼす結果になったとも思われるので,これが早坂の世界を十全に表現した作品かと言われると,多少の疑問符はつくのかもしれぬ.
傑作と噂される〈キャプリツィオ〉が聴きたい.
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