パターナリズム
G.C.W.氏は,もう15年くらい前から「公共図書館におけるフィランソロピー的機能」ということを考えていましたが,相手に対する悪意と敵意をあからさまにする人間が彼我の業界に少なからず存在しているのが難で,どうしても説得力に欠けるんですよね(^^;).どちらがニワトリでどちらがタマゴなのかはともかく,公共図書館業界にも文壇・論壇や出版・流通を敵視し罵倒する保守的・図書館原理主義的な輩は少なからず存在します.今回の「共同声明」がそういう保守派や原理主義者を勢いづかせることは間違いありません.
今や図書館業界では今回の「共同声明」に対し,立場の如何を問わず批判する声が高まっているように見受けられます.少なくとも,諸手を上げて賞賛しているヒトは図書館業界には管見の限りお見かけしません(^^;).何故このような事態に立ち至ったのか,少なくとも文章を生業としている方ならおわかりのはずです.あの声明文から読み取れる如く,自らの著作を「消費財」としてしか捉えることの出来ない輩に,どうして「文化」という言葉を使用して公共図書館を非難する事が可能なのか,共同声明に名を連ねる5団体に籍を置かれる方々は,もう一度よくお考えになっていただくことをお勧めします.
しかし考えてみると,業界保守派の「貸出至上主義」というのは,お役所が住民に対して示す「パターナリズム」の典型でもあるのですが,今回の「共同声明」はパターナリズムを攻撃するのに別種の「パターナリズム」を以って当たっているわけで,これでは上手くいくはずもありませんね(^^;).【Copy & Copyright Diary - 声明を読んで】でも,その「たかりの構図」が厳しく指弾されてますが,自らお役所のパターナリズムの傘の下に入ろうと擦り寄るその姿勢には,「文化」をも自らの利益のダシにしようとする品性の卑しさを感じずにはおれません.
« 私的録音保証金 | トップページ | 早坂文雄/ピアノ協奏曲 »
「図書館」カテゴリの記事
- 【2016年熊本地震】図書館・出版流通関係記事まとめ(2016.04.18)
- 官尊民卑に弄ばれる「図書館の自由」(2009.02.15)
- 講演会のご案内(2008.07.04)
- ICタグの盲点(2008.02.16)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
ついでに言うと,文壇・論壇には数年前に話題になった馳星周氏のwebエッセイの如く,公共図書館をことさら役人の府とし公共図書館員を小役人として蔑む風潮も見受けられます.わたしも以前,「私は作家」という自我の肥大化にお付き合いした事がありますが,「図書館員に何がわかる」的な言動は,ブーメランの如く当人の品格に跳ね返るものです(^^;).
この「共同声明」を貫く心性には,そのような図書館を蔑視する空気も反映しているのでしょう.
投稿: G.C.W. | 2005/11/12 20:27