「みんなの図書館」2005年8月号
「みんなの図書館」2005年8月号は特集〈司書として図書館で働く〉.公共図書館で働く公務員司書の意識の断層が透けて見える,なかなか面白い特集でした.
公共図書館の現場の方が書いた文章には,司書は特別な職じゃない(p14)と言っている割には仕方が無いから図書館における庶務もやってます(p9)と読める記述もあり,他の文章でも「司書は特別」という意識と「司書は特別じゃない」という意識の間で,意識的に「司書は特別なじゃない」と自戒する話(p30)もあり,組織と自意識(司書としての矜持)のバランスを保つのに苦労している痕が伺えます.
個人的には,図書館司書も世の中に星の数ほどもある職業のひとつだと思ってます.大学で勉強して資格を持っているが故にたまたま職にありつき,向き不向きを考えると向いていると思うものの,特別な仕事をやっているという意識が無いものですから,エスタブリッシュ(もしくは選民)としての葛藤には縁がありません(^^;).それは他者における「仕事への無理解」との葛藤とは別種のものであり,忌避すべきものでしょうね.
嘱託職員の発言をまとめた文章に「『図書館雑誌』を毎月読んでいる人が何人いるか」(p35)という発言があり,まとめたヒトが「辛らつな発言」(p35)と受けてますが,「『図書館雑誌』に毎月読むに足る記事が幾つあるのか」(ここ数年は随分良くなりましたが)というのならまだしも,この程度で辛辣だと感じてしまうのも情けない話です(^^;).
おや,と思ったのはある方の「公務員になることと司書になること,また自分が好きで図書館員になることと一致していない」という証言(p34).この文章をまとめたヒトは,この部分をもう少し詰める必要があったような気がします.
なお,「司書養成の立場から」(種村エイ子執筆)については,司書講習の話をここ数日考えている関係もあり,後日改めて触れるつもりです.
特集と関係無いですが,今号掲載の「図書館の原点を考えた」(坪井賢一執筆,p38-47)という文章は,一読以上の価値があります.特集の問題意識の有様にはウンザリでも,今号を購入する価値はあると思いますよ(^^;).
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