ダメな図書館目録の例
昨日,雨降りの中で忘れてしまった話のひとつです.
昨年,評判になった『萌える法律読本:ディジタル時代の法律篇』のNACSIS-CATのデータがこちらです.正直なところ,この目録データから現物を探し出すのは大変に難しいと思いますが如何でしょう.
ちなみに国立国会図書館の目録データはこのようになっています.国会図書館のデータの方が,現物から見て素直なデータですよね.
勤務先でひとしきり,この目録データを話題にしてみましたが,NACSIS-CATのデータを作成した方は「萌える」という字を「本タイトル(≒本書名,日本目録規則の専門用語)」に使いたくなかったんじゃ,という話まで出る始末でした(^^;).
G.C.W.氏なら,本タイトルを「萌える法律読本」として,VOL表示に「ディジタル時代の法律篇」「日々の生活篇」とするところです.NACSIS-CATが本タイトルに採用している語句は省くか,「注記」に入れますね.現物を見れば明らかなように,CATが本タイトルとしている語句は標題紙でもごく小さなフォントで印刷されていますから.
これは「提供のための目録」どころか「管理のための目録」としてもどうしたものか,と言わざるを得ないダメな図書館目録の例として,取り上げるに足る事例だと思います.同じような仕様(思考?)で作られているNACSIS-CATのデータは時々見かけますが,現物にアクセスすることをわざわざ難しくしている目録データというのは,いったいどのような発想で作られているのでしょうね.
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» ダメな図書館目録の例:補遺その1 [愚智提衡而立治之至也]
【ダメな図書館目録の例】にいろいろコメントをいただくことができました.感謝です [続きを読む]
「管理のための目録」としてもダメというのはまさしく。よく仕事の邪魔をされております。そしてそれが起こるたび、「これをして一体誰のためになっているのだろう」と虚しくなります。誰一人として幸せにならない仕事というのも愉快なものです。いえ、規則通りにしたいだけの人は幸せになっているかもしれませんが。
近頃、NCはじめ先端的な図書館目録の考え方というのは(IFLAの「〜機能要件」も含めて)、図書館利用のためではなく、世の中にある資料という資料の全容を把握したい、という誇大な欲求でもあるのではないかと思っています。あるいはむやみに書誌学的/文献学的であろうとしているか。
いまだ「著作」という単位の効用が理解できないのですが、どなたか教えてくださらないものだろうか。
投稿: ruck | 2005/07/06 05:57
とある専門図書館に勤務していますが、私も国会図書館の目録の方が「素直」というご指摘に深く同意いたします。
記述目録のみならず、NDCも件名標目も、国会図書館のほうが、適格だと思います。
NACSIS-CATの目録は、すなわち、参加している大学図書館の目録の寄せ集めであるわけですが、その当の大学図書館の目録のほとんどが、TRCなどの民間MARCに依存しているわけでございましょう。
結局は、民間MARCよりも、国会図書館の目録のほうが断然信頼がおけるということだと思います。
投稿: liblib | 2005/07/07 09:20
確かに、国会図書館の目録のほうが、この例に関しては的確だと感じました。
ただ、NACSIS-CATの問題は「寄せ集め」であることであって、民間MARCを下敷きにしていることでは必ずしもないと思います。
私はNACSIS-CATについて詳しくないので、正確な言い方はできませんが、この例をもってして優劣をつけるのはいかがかと思いました。素直な感想です。
投稿: への | 2005/07/07 12:57