「みんなの図書館」2005年7月号
「みんなの図書館」7月号(339号)は“図書館問題研究会第52回全国大会”特集.「基調報告」改め「重要討議課題」が劈頭を飾る.「公共図書館業界の常識は世間の非常識」あるいは「公務員の常識は世間の非常識」に陥らないよう,内容や表現に相当苦心したんじゃないかという感じ.それでも世間とのズレが露見してしまうところがあるのが哀しい.典型的な一例を挙げてみる.
「営利事業であれば,利用が多い=増収であるが,契約金(=役所の予算)の範囲内では,利用が多い=支出のみ多いとなる.カウンターで働く職員が誠意をもって利用者と対応しようとすれば,利益を追求しようとする企業経営とは容易に対立することとなろう.サービスは企業のためにならない.」(p3)
ここを読んであまりのバカバカしさに噴き出しましたですよ(^^;).これ,これまで公務員が「お役所仕事」と言われて散々批判されてきたことじゃないですか.
「委託・民営化の問題」という項目に書かれている文章ですが,この箇所の筆者は,企業とは安全こそが最高の利益誘導であることを忘却したJR西日本のような愚企業ばかりだと思っているのかな(^^;).そもそも与えられた環境で最高のパフォーマンスを引き出せなければ社会人としては失格のはずなのですが,どうやらこの文章の筆者はアルバイトの経験も無く純粋培養されて公務員になったんじゃないだろうか,という邪推が頭をよぎったですね.あまりにも公務員以外の人間を見下した,唾棄すべき精神の持ち主が書いた文章ではないでしょうか.ぶっちゃけた話,この程度の認識で企業経営や企業活動を語ってほしく無いですし,ましてや「公共サービスとしての図書館」を語られた日には(sigh).
実は,この箇所では更に文章が続くのですが,それはあまりにヘンテコリンで,公共図書館直営への賛美としても到底論理的とは言い難く,引用するのが憚られます.興味のある方は直接「みんなの図書館」に当たってください.
この程度の文章が堂々と「みんなの図書館」に掲載されてしまうのは,現在の公共図書館業界人における思考力と分析力と文章力の低下を如実に感じさせてしまうということで,業界のイメージにマイナスになりこそすれ,プラスにはなりませんね(^^;),残念ながら.例え前書きにて未完成であることを強調していても(p1),ほめられた話ではないのではないかと.
他にも何箇所か奇妙な箇所がありますが,ここは象徴的な箇所として取り上げ批判するに足る,ある意味「と」なところですね.
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