「スターライブラリアン」が忌避される理由(続)
昨日の続き.
「出る杭は打たれる」という格言を地でいっているのが図書館業界というところで,特に公共図書館業界にその趣きが強いように感じられるのは,何もG.C.W.氏の僻目ではなく,浦安市立図書館が竹内紀吉館長の下で走り出した頃から澎湃と沸き起こり,現在もなお図問研や日図研にくすぶっている「浦安叩き」の歴史を繙けば一目瞭然(^^;).
これは,『市民の図書館』(日本図書館協会)発刊以降,1970年代から80年代にかけて日図研や図問研の中枢を担った連中が意識的か無意識にかはともかく,前川恒雄(元・滋賀県立図書館長)の業績と思想を神格化・神話化してきたことが遠因にあると言っても,当たらずと言えども遠からずでしょう.漫画の世界を例に引けば,トキワ荘グループが代表するプレ団塊の世代が手塚治虫を神格化・神話化したようなものです.
漫画の世界はそれでも,手塚治虫以外にも田河水泡の流れを汲むひと(長谷川町子や山根兄弟)もいればスポーツモノの流れもあり,やがては劇画なども現れて,おいそれと手塚神話に一元化されるようなことは無かったわけですが,図書館業界にはある方向への一元化志向が,現在に至るまで強くあるんじゃないでしょうか.G.C.W.氏など,ある意味「極左」の一元化志向に似たものを感じるくらいです.それが,前川恒雄の息のかかっていない公共図書館あるいは図書館員への日図研・図問研を中心としたバッシングにつながっているような気がするのですね.
つまり,公共図書館業界に「スターライブラリアン」は前川恒雄ひとりでよし,とする暗黙の了解めいたものが,過去のある種の業界人にはあったんでしょう.残念ながらこれは必ずしもG.C.W.氏ひとりの憶測ではなく,幾人もの業界人から漏れ伝え聞いた話からも類推できます.
このあたりからも,『市民の図書館』のディコンストラクションもしくは相対化は喫緊の課題だと思うのですがね.
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