もう少し創造的な委託批判は出来ないのですかねえ
産経新聞【サービス向上?それとも低下? 公立図書館の民営化進む】
産経にしては目配りが利いているな,と思ったら共同通信社の配信記事だったので納得(^^;).
記事中,「日本図書館協会によると、公立図書館は全国に約2700あるが「すべての自治体が制度導入を検討している」(同協会)という状況だ。」(引用者注:「制度」は指定管理者制度のこと)とあるが,「すべての自治体が検討している」にはどの程度信じるに足る根拠があるのかしらん.朝日vsNHKではあるまいし,裏は取れているのでしょうね(^^;).
でもって,根拠に乏しい委託批判が聞かれるのは相変わらずの「堺市の図書館を考える会」から.「ベテラン司書がいなくなりサービスが低下したり、選書の偏りや個人情報の流出、営利目的に走る心配もある」バカの一つ覚えじゃないんだから,いい加減なところでそう主張するに足る,ただの民業蔑視ではない,歴とした根拠を示して欲しいです.個人情報はお役所から流出する事例があとを絶たないし,選書の偏りは違った形ながら公務員が運営していた船橋市で噴出したし,貸出至上主義は市場万能=営利目的そのものだし,図書館系blogの片隅でここ2~3日,ベテランによるサービス(とモチベーション)の低下が話題になったばっかりなのに(^^;).「堺市の図書館を考える会」は,是非記事中に出てくる山中湖情報創造館を視察することをお勧めします.
この記事で考えるべき箇所は,永田治樹氏のコメントにある「事後評価をうまくできるシステム作りが重要になってくる」ここです.「自己点検・自己評価」が一世を風靡した際,大学図書館における自己評価のマニュアルが議論されたり策定されたりしたことはありますが,大学図書館や公共図書館の「格付け」の研究にまでは至ってなかったような記憶があります.大学では「第三者評価」ということも言われるようになっており,今後は公共図書館も否応無く「格付け」の嵐にさらされることになるやもしれませんね.
そのときまでに,日図研や図問研が現在の不毛を脱して,シンクタンクなり格付け機関なりの役割を果たせるようになっているかどうか,については考えるだけ無駄でしょう.
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