志ある司書はベストセラーを選書しない?
記事に登場する日図協の松岡事務局長の言葉「民間はベストセラーを中心に選ぶ可能性があるし、司書も専門性がつきにくい」ですが,ベストセラー中心の選書は既に『市民の図書館』とそれを受けた日本図書館研究会読書調査研究グループのいわゆる〈伊藤モデル〉に心酔する,志ある公務員司書が実践しております.〈伊藤モデル〉は公務員司書が何も考えることなく利用者の要求に従ってベストセラーを選書することに一定の根拠を与えています.民間だから「ベストセラーを中心に選ぶ」というのは間違った考え方です.公務員であろうと民間であろうと,公共図書館に住民を呼びこむための第一の手段として「ベストセラーを揃える」ことは,誰でも考えつくことです.「ベストセラーを揃える」ことを以って民間批判とするのは適切ではないでしょう.
また後半の「司書の専門性」ですが,大方の自治体では図書館司書は専門職とはなっていません.総合職による持ち回りのあてがい扶持でしかない状況下で,民間委託のみが「専門性」を阻害する要因だとすることは,どこから見ても無理があります.今ではむしろ,ある一定の期間図書館勤務を保証する指定管理者委託の方が,公務員の持ち回りよりも専門性を確保できる可能性さえ(表にはなかなか出ませんが)指摘されています.
図問研がバカのひとつ覚えのように繰り返す「公務員の守秘義務」を持ち出さなかっただけでも,この記事はエライと思ってしまうG.C.W.氏は人が悪すぎますか(^^;)? 全体的にこの記事はいささか端折った箇所があるような気がします.出来ればもう少し突っ込んだ内容(特に指定管理者委託に反対する側の意見をもう少しはっきりと書いてもらう)の記事にしていただければ,より面白く,注目される記事になったかと思います.残念!
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