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「貸出至上主義者」度チェックβ版

民間図書館らしい企画を生み続けた船橋北口図書館を助けて下さい!(岡直樹) - READYFOR?

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2004/12/22

公共図書館が保障するもの

 ちょっと遅くなりましたがこちらの,通りすがりの大学生さんまる3@山中湖さんのコメントに対するRESになります.今回は現状の話ではなく,恥ずかしながら(^^;)多分に理想を語ることになりそうです.

 「知る権利」というものについて平易な表現を採れば,公共図書館という存在が市民に対して保障しているのは「ある情報を必要なときに必要なだけ(無料で)引き出すことが出来る」ということです.これは,「学習権」と呼ぶよりは「調査権」の方が相応しいのではないかと.何故そんなことを,地方自治体が税金を投入して保障しなければならないのか,と言えば,それが民主制(就中,代議制)を健全に維持するためには必要な仕掛けだから,と言うことになります.政治に限らず,世の中のあらゆる公的(public,むしろハーバーマスの「公共圏」か?)な動きに関する5W1Hを調べるための機構であることが,民主制を維持するための必要不可欠なコストとしての公共図書館である,という位置付けですね.
 
 いまひとつ,市民の誰もが必要なときに必要な情報を入手できる機会を保障すること,即ち公共図書館が存在する社会には「機会の平等」が保障されていることを意味します.近頃,巷間話題の「ビジネス支援」の勘所は,ここにあります.よって,図書館は誰もが等しく無料で利用できなければ「機会の平等」を保障することにはならないでしょう.
 ちなみに,「貸出至上主義」と称される,本の貸出に執着する主義主張は「モノの移動」という目に見える結果に価値を見出す,即ち「結果の平等」の過度の尊重という,戦後民主主義がもたらした負の側面に最も忠実な主張です.貸出至上主義者が「ビジネス支援」打倒に執念を燃やすのは,ビジネス支援が「結果の平等」という彼らの金科玉条に反しているからだと思われるフシがあります.

 このあたり,日本国憲法で言えば23条「学問の自由」や26条「教育を受ける権利」よりも,25条「生存権」の問題が上位概念になってくると思います.「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」という奴.「健康な最低限度の生活」とはなるほど福祉・厚生行政の範疇ですが,「文化的な最低限度の生活」は教育・文化と経済行政の範疇でしょう.このあたり,誤解を恐れずに言えば,公共図書館はホームレスに炊き出しをするところじゃなく,ましてや風呂や寝場所を提供するところでもない,ということです.公共図書館がホームレスに保障するのは,もっと違う分野のことなんだよ,と.その好例が『図書館の力』(森崎震二,戸田あきら著/新日本出版社)の冒頭を飾ってます.
 
 民主制の維持と「機会の平等」は等しくすべての市民に三権が保障すべきものであり,その保障を税金で賄うことには,何の異議も無いでしょう.それが「公共図書館無料の原則」ということです.ちなみに「税金で賄う」と「公務員で賄う」の間には,非常に大きな断層がありますのでお間違いの無いように(^^;).

 現状の公共図書館が,以上に述べた理想論といささか異なる様相を示していることについては,勿論図書館問題研究会をはじめとする公共図書館業界にも大きな責任がありますが,そのような公共図書館のあり方を可しとしてきた市民の公共図書館への意識もまた,問われることになると思います.「民主制」とは,そういう制度のはずですから.

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図書館」カテゴリの記事

コメント

丁寧なコメントありがとうございます。
いろいろ共感する点がありました。
たとえば、
・「民主制を維持するための必要不可欠なコストとしての公共図書館」…まさにその通りだと思います。私もこのことが言いたかったのです。もう少し付け加えるとするなら、「国民主権の実効性の確保」といったところでしょうか。
・「「税金で賄う」と「公務員で賄う」の間には,非常に大きな断層がありますのでお間違いの無いように(^^;)」…同感です(笑)。その通りだと思います。
・「現状の公共図書館が,以上に述べた理想論といささか異なる様相を示していることについては…市民の公共図書館への意識もまた,問われることになると思います」…まさにこれが今後の課題ですね。「住民参加」とか「生涯学習」といったキーワードが実質的な意味を持つためには、それこそ「不断の努力」が必要だと思います。

さて、先日私があえて「知る権利の保障」でなく「学習権の保障」を提起した理由はと言いますと、図書館界が金科玉条のように使っている「図書館の自由」なる概念が、「知る権利の保障」に重点を置き過ぎているように感じるからです。
「図書館の自由」といえば、たいてい、図書館が問題資料を見せる見せない云々、といったことばかりがクローズアップされ、それが図書館の最も本質的な役割だというような風潮が見受けられます。(しかも、先の船橋の事件のように、司書自身が本を隠すといった驚くべき現実がいまだに存在しています。)

しかし、図書館が「自由でゆたかな情報の流れ」を確保するのは当然の役割であり、その「流れ」
にアクセスするのが困難な人たちが情報へアクセスする「自由」が、「図書館の自由」の積極的な意義だと思うのです。
それが、図書館が公費で賄われなければならない最大の理由だと思いますし、その場合、「知る権利の保障」を前提とした「学習権の保障」をもっと強く、また戦略的に展開していくべきだと思います。

そのためには、もちろん貸出を中心とした資料提供が最大の方策となると思いますが、単に利用者の(顕在的)要求に応えるだけの「貸出至上主義」ではなく、「すべての人(住民)」の潜在的要求に効率的かつ効果的に応えていく理念(哲学)と実践が不可欠です。

その際、その理念のキー概念となるものが「学習権」だと思うのです。
「知る権利」はその根拠を「表現の自由」に持っていますが、「表現の自由」の価値である「自己実現の価値」と「自己統治の価値」のうち、後者の方により重点が置かれていると考えられます。
一方、「学習権」はその根拠を「教育を受ける権利」に持っており、「自己実現の価値」を中心として生存権、公民権等の価値を含むものと考えられます。
もちろん、「知る権利」と「学習権」は互いに重複する部分が多く、コロラリーの関係にあると言われることもあるくらいですので、厳密に両者の境界を分けることはできませんし、また、厳密に分けることはかえって人権概念の理解の妨げになる危険性もあります。
しかし、両者がそれぞれに持つ思想的奥行きをかんがみる時、「知る権利を基盤とした図書館サービス」と「学習権を基盤とした図書館サービス」は同一のものにならないと思います。
そして、私は、「公共図書館が保障するもの」は「学習権を基盤とした図書館サービス」によってもたらされる部分が大きいと考えるのです。

>>通りすがりの大学生さん

 コメントありがとうございます.どう返答したらいいか,いろいろ考えているうちに返事が遅くなってしまいました.おまけに,未だ返答が上手くまとまらない有様で,申し訳ないです.
 通りすがりの大学生さんのおっしゃられていることは概ね理解できました.あとは,わたしが「学習」という言葉に感じる抜き難い違和感と,どう折り合いをつけるか,というところでしょうか.上手くまとまれば,またエントリーします.
 
 それにしてもわたしは,大学生の頃はそこまで掘り下げて考えていなかったような気がします(^^;).

民主主義社会のコストとして、特殊資料の収集と無料提供は賛成なのですが、それ以外の通常図書やビジネス支援は法律を変えて有料(適正な対価)にしたほうが、図書館のためになると思います。なぜかといわれるとブログでも書いたのですが、なかなかうまく説明できません。税金は必要なものに集中的に投入したほうがいいし、だからといって同様のサービスであるものを税金を使う使わないでわけてしまうのは効率上問題があるかと。

>> solidarnosc さん

コメントありがとうございます.お返事が遅れました.
のちほど,solidarnoscさんのエントリーなどを参考にして,別のエントリーをあげるつもりですが,取り急ぎ「特殊資料」と「通常図書」の線引きをどうするかな,というのが業界人としてはツッコミどころかな,と思います(^^;).

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