今日の購入物件
マーラー/交響曲第6番イ短調@ハインツ・ボンガルツ/ライプツィヒ放送交響楽団(Weitblick:SSS0053-2)
ブルックナー/交響曲第7番ホ長調@フィリップ・ヘレヴェッヘ/エリゼー宮管絃楽団(harmonia mundi France:HMC901857)
これで今年のCD購入はお終い(^^;).ちょっと早いけど,年末のフィナーレを飾るに相応しいサプライズ(^^;)な録音2枚である.発売はちょっと前だけど.
しかし,ボンガルツ(1894-1978)とはまた珍しい(^^;).ボンガルツの録音は20年以上前に聴いたレーガーの〈シンフォニエッタ〉作品90(これが〈シンフォニエッタ〉という題名なのに50分かかる)のCD化されたもの(Berlin Classics:009122BC)を持っているが,それ以外は久しくお目にかかったことが無かった(数住岸子(*1)がソロを演奏したヴァイオリン協奏曲作品101の伴奏もあったかな?).しかも曲目がマーラーで,おまけに6番(!).この作品はマーラーが今ほどの人気が無かった時分にも案外演奏されていたらしい(見かけが他の作品に比して古典的だからだろう)が,東ドイツで1969年のスタジオ録音(放送用)が行われていたとは驚きである.
演奏は案外にロマンティックで,オケの統率も見事なものだが一発録りだったとみえ,終楽章でトランペットがミスっているのがはっきりわかる(^^;).168小節から入らなきゃいけない2番トランペットが4小節早い164小節から吹き出してしまい,168・169小節の旋律線が脱落してしまう.170小節から慌てて入り直す様がはっきり残されていて,ライヴ感たっぷりという感じである.この箇所,こうして字に起こしてしまうと「コマッタちゃん」演奏みたいになってしまうが,実のところこんな瑕疵はどうってことがない,重量感たっぷりな演奏である.この程度の傷は,マーラーに不慣れなオケでは今でも日常茶飯事だろう(数年前,N響が第1番でしくじったのをFMで聴いたこともあるぞ).なお,スケルツォ(この録音では第3楽章)にはちょっと吃驚のカット(183小節から260小節まで.練習番号81から86まで)がある.
これでG.C.W.氏のコレクション26組目(多分)のマーラー/6番だが,何度聴いてもマーラー随一の大傑作であるという判断は変わらない.
そしてヘレヴェッヘのブルックナー.ヘレヴェッヘとブルックナーという取り合わせが何やら微妙ではある(^^;).ちょっと評価の難しい演奏.オーケストレーションの練り合わせがよく見通せ,リズムもくっきりと刻まれる,風通しのよい演奏なのだが,いかにもオケが軽い.そりゃヘレヴェッヘにクナッパーツブッシュやカラヤンの演奏がもたらす重量感は,最初から期待していないけど.どちらかと言えば,ブルックナーよりもメンデルスゾーンを演奏するのが相応しい手付きではある(*2).
(*1)数住岸子は1997年に肺癌のため45歳の若さで死去したヴァイオリニスト.念のため「数住岸子」を検索すると何か出てくるだろうか,と思ったら福岡県立図書館のレファレンス・ガイドが出てきたのには吃驚した(^^;).
(*2)それでも,現在売れまくっているであろう小沢征爾/サイトウ・キネン・オーケストラのブルックナー/7番よりはこちらを買う.何故って,そもそも斎藤秀雄はブルックナーが嫌いだったはずで,そのひとの名を冠したオケがどうしてブルックナーを演奏できるのか,G.C.W.氏にはさっぱり理解できないから.
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コメント
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ところで、話がちょっと飛ぶんですが、ブルックナーの交響曲第3番って、有名な曲なんでしょうか?
私はここ数年、ピアノ曲以外のクラシックをまともに聞いたことがないので(車の中で聞くのは平均率ぐらいしかないかも…)勘所がとてもずれているような気がするんですが、クラシック好きの知人に「自分が一番好きで、つい何種類(指揮者ごとっていう意味で)も買ってしまう曲って何ですか?」と聞いたら、この曲の名前が出てきたのです。
聞いてしまった責任もあるので、このCDを探して聴いてみようと思っているんですが…。ブルックナー=朝比奈隆、というイメージしかない自分がつくづく貧困だと感じた瞬間でした(笑)。
投稿: かんちゃん | 2004/11/24 20:29
>>かんちゃんさん
ブルックナーの交響曲第3番は有名なことは有名ですが,それは作品が傑作だから(8番,9番)とか親しみ易い(4番,7番)からというのとは,ちょっと違うかもしれません(^^;).むしろ晦渋で通好みな作品だと思います.
ブルックナーと言えば一度完成させた作品に何度も改訂を加えるひとでしたが,3番はその最大の犠牲者(?)で2度にわたって大改訂が施されているため「原典版」が3つもある始末.第1稿がリヒャルト・ヴァーグナーに献呈されて「ヴァーグナー交響曲」というあだ名もありますが,ヴァーグナーの俗っぽさスレスレの「わかりやすさ」とは縁がないような気がします.
ですから,ブルックナーの3番を一番好きだと言う,かんちゃんさんの知人は相当な「通」なのではないかと.
わたしは5種ばかり持ってますけど,ひとに勧められるのはカラヤン/BPOの1981年録音(DG).これがもっともわかりやすい演奏だと思います.ただ,現在単品で入手できるかどうか(わたしが持っているのも輸入盤全集です).もっとも,この曲では朝比奈もヴァントもヨッフムも聴いたことがないので,カラヤンなど勧めると純粋なファンからのお叱りを蒙りそうです(^^;).
投稿: G.C.W. | 2004/11/24 23:07
数住岸子氏の録音をいまだ実際に聴いたことはありませんが、よく聴いているミュージシャンのさだまさし氏と意外な関係があることから名前だけは存じておりました。
詳しくは
http://homepage1.nifty.com/kisch/webaz/webazx/1997.htm">http://homepage1.nifty.com/kisch/webaz/webazx/1997.htm
の6月2日の欄をご覧下さい。
また、さだ氏の小説『精霊流し』にも彼女をモデルとした岸田涼子なる人物がほんの少し登場しています。
投稿: MIZUKI | 2004/11/25 01:48
>>MIZUKIさん
コメントありがとうございます.
それで思い出しましたが,さださんは数住岸子さんが亡くなったとき,毎日新聞の連載コラムで数住さんとの縁について書いていました.そのコピーがどこにいったか現在手元に見当たらないので,掲載日が特定できません.すみません.あとで探しておきます.
数住さんは,日本の作曲家の作品を取り上げることに熱心な方でした.貴志康一という早世した作曲家のヴァイオリン協奏曲の録音をエアチェックで持ってます.この作品は日本の小唄か長唄のような旋律を主題にした協奏曲で,演奏家よりも風変わりな音楽に耳がいってしまうので,ちょっと演奏家を云々するには残念ながら不向きですね.
投稿: G.C.W. | 2004/11/26 23:43