「図書館九条の会」発足
最近届いた「図書館雑誌」,「みんなの図書館」,「出版ニュース」がすべて取り上げていたのがこれ.
うーん,何をどう書いても誤解されそう(^^;).G.C.W.氏も戦後民主主義と日本国憲法に対する愛着は人後に落ちないつもりですが,此度の「図書館九条の会」には賛同しかねるところがあります.
とにかく何より,イマドキのやり方では無いですよねえ.1960年代の安保闘争華やかなりし,図問研が誕生した頃なら,それなりに説得力もあったのでしょうが.「反権力」のアピールそのものが信用と信頼を失っているこの時期に,あまりに素朴な発想であり手段ではないでしょうか.「図書館にかかわるすべての人に」(アピール文より)呼びかけているのに,発起人が公共図書館・学校図書館関係者だけなのもマイナスに働くのではないかと.
業界誌で取り上げられたタイミングも良くなかったですね.「図書館雑誌」や「みんなの図書館」という月刊誌のタイムラグは止むを得ないところがあるにせよ(9月に発表されたアピールが11月に取り上げられる),度重なる水害や新潟県中越地震という災害に地方が見舞われている最中に大きく掲載されたというのは,この運動が如何にも「都市生活者」の道楽であることを象徴していると受け取られても仕方が無いと思います.
それにしても,「図書館九条の会」関連の記事が掲載された「図書館雑誌」11月号の特集が〈図書館の危機管理と健康管理〉というのは皮肉だったのでしょうか.続発した水害や地震のことには一言半句も触れることなく〈危機管理〉とは!
「図書館九条の会」発起人諸氏の「善意」は疑いませんが,1960年代ならまだしも,現状は図書館業界までもが日本国憲法第九条といった「大きな物語」を云々しているような秋じゃないのではないか,と思います.現在の状況下における図書館業界人のやるべきことは,もっと他にありはしませんか.
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コメント
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本題とはずれますが、私も、今月の「図書館雑誌」を見て、「おお!時宜にあった特集じゃない!」と感心したのですが、中身を見て愕然としました。
以前、「図書館雑誌」のChatter Boxに投稿したこともありましたが、いちいち校正だのなんだので原稿を送り返してくれて、掲載されるのが数ヶ月後なんですよね。
この遅滞性が、「役所」然と感じます。
投稿: kiyo-ricci | 2004/11/16 12:08
>>kiyo-ricciさん
あれ,わたしが〈としょかんChatter Box〉欄に投稿した時は校正やった記憶がありません(^^;).投稿は載りましたけど.謎だ(*_*).単に忘れているだけかもしれません.
「図書館雑誌」の危機管理特集はぬかりましたねえ.あれ,編集後記にでも「残念ながら水害や地震については間に合わなかった云々」と一言入れただけでも,あとあとの印象や評価が変わったんじゃないかと思います.特集自体の企画や内容は決して悪くないだけに,編集者の力量というか,アンテナの精度が試される結果になってしまったのは気の毒だったかもしれません.
が,それにしても.
投稿: G.C.W. | 2004/11/16 23:53