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2004/10/21

「著作権法改正要望事項に対する意見募集について」にパブリックコメントを図書館界から送ってください

 以下の文章では著作権を放棄しますので,各自で改変された上でご利用いただいて結構です.

 日本図書館協会の10月13日付メールマガジンでも紹介されましたが,現在文化庁が10月21日までの予定で「著作権法改正要望について」パブリックコメントを募集しています(*1).パブリックコメントを送付する際の書式が大変複雑な上に,改正要望が全9章143項に及ぶため,及び腰になられる方がいらっしゃるかもしれません.しかし,今回各団体から提出された要望には,図書館界として,見過ごすことの出来ない内容を含んでいるものがあります.いやしくも専門職として禄を食む者がこれを見過ごしているようでは,公共図書館の民間委託反対運動など呼びかける資格は無いと断言します.是非,パブリックコメントを ch-houki@bunka.go.jp に送付していただくよう,図書館界に広く呼びかけるものです(*2).

 なお,著作権法を巡るパブリックコメントとその提出の意味については図書館業界も著作権法改正に関するパブリックコメントを送ってくださいも参考にしてください.

 文化庁からリリースされた「2004年10月8日 著作権法改正要望事項に対する意見募集について」(*1)に掲載してある「資料2‐1 関係団体からの著作権法改正要望について(概要)」(*3)には全9章143項に及ぶ著作権法改正への要望が記載されています.その中で最も図書館界に関わってくるのは,やはり〈4.著作権の制限〉に絡む箇所が避けて通れません.それは,ここに「図書館に関する制限」の項目がある,というだけにとどまらず,そもそも「著作権の制限」が私的使用,教育,障碍者,非営利無料無報酬の上映等,行政手続,医療など,図書館業務に関係する分野を包含しているからです.
 〈4.著作権の制限〉には,館種を問わず図書館の活動について掣肘を加えようとする要望があげられており,図書館業界として看過することは出来ません.具体的には以下の項目になります.

40)  公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器による私的複製に対する著作権等の制限の例外を、出版物から著作物が複製される場合にも適用する。
(41)  私的複製に対する著作権等の制限について「個人的に使用する場合」に限定
(42)  私的複製に対する著作権等の制限について「著作者の正当な利益を不当に害する場合」を除く。
(43)  私的複製に対する著作権等の制限について「権利侵害物であることを知りながら行う場合」を除く。
(57)  第31条にいう「調査研究」から、「商業目的の調査研究」を除外する。
(58)  第31条にいう「利用者」を図書館内の利用者に限定する。
(59)  第31条にいう「利用者」を個人に限定する。
(60)  第31条により認められる複製は、図書館職員によるものであることを明記する。
(61)  図書館における複製に対する補償金支払いを義務付ける。
(64)  学校等の教育機関における複製に対する補償金
(77)  非営利・無料・無報酬の映画の著作物の「公の上映」に対する著作権等の制限の撤廃
(82)  図書館における貸出しに対して相応の法的制限を設ける。
(103) 著作権制限規定から楽譜を除外する。

 図書館の業務における最も重大な掣肘を主張する(57)(58)(59)(103)は,いずれも著作権法以前に日本国憲法第11条,第13条,第21条,第23条に反する主張であり,愚の極みです.また,館種を問わず図書館のカウンター業務を知るひとであれば,図書館界の外にいるひとであっても,その主張が如何に無知蒙昧からくるものであるかを納得できるものです.日本書籍出版協会,学術著作権協会などがこのような意見を文化庁に具申しているわけですが,図書館における「商業目的の調査研究」を禁止した場合,図書館におけるノンフィクション作家の調査研究もまた禁止されることになるはずです.小説家にしても,自作のために図書館にて「調査研究」をやる人間は多数存在すると思われます.さらには学術研究者にも,書籍を出版するために調査研究を行うケースがあるはずです.これらの活動も図書館では禁止する,ということでよろしいのでしょうか.
 このように,図書館に対する「利用制限」の要望はおおよそ矛盾に満ちた主張です.かような主張が万が一文化庁に採り上げられた場合,図書館のみならず文筆で生計を立てる者が蒙る打撃には計り知れないものがあります.それは,ひいては日本の社会における闊達さを消失せしめ,国力の低下を招くであろうことは,想像に難くありません.この要望を持ち出す団体は,自らの首を締めることになります.
 (40)(41)(42)(43)の如き「私的複製」への掣肘も同様です.

 次いで問題とするべきは(61)(64)(82)の如き図書館における著作物の利用から対価を徴収しようとする要望です.これらの要望はフェアユース(公正な利用)(*4)の理念を著作権法に導入することにより,その実現を阻まなければなりません.特に(82)は,この標題ではボカされていますが,「公貸権」導入と一定期間の「貸出禁止」を求める日本推理作家協会の要望です.日本推理作家協会も多少は考えたようで,「公貸権」導入に際しては図書館への書籍販売時の課金や一時新聞等で話題になった基金による補償ではなく,図書館における貸出相応分を所得税控除に加えて欲しい,という新提案を行っています.貸与権連絡協議会とコミックレンタル店の協議が決裂した状況を見るにつけ,(61)(64)(82)のような要望が通れば,著作権者が図書館に対し過大な金銭的要求を持ち出してくるのは火を見るよりも明らかであり,図書館が担保するはずの「知る権利」が衰退することだけは間違いありません.

 (77)は公共図書館が行っている映画等の上映会に関わってくる案件です.残念ながらわたしは,この件について論を立てるだけの経験がありません.よろしければ何方か(77)に対する反論をお願いいたします.

 以上,今回の「著作権法改正要望事項に対する意見募集について」において,図書館界が最も強く反対しなければならない箇所について,不十分ながら説明いたしました.専門職を標榜する諸氏におかれては,この件についてパブリックコメントを文化庁まで送付するよう,強く求めるものです.

*1 http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2004/04100601.htm
*2 ↑に記載されているパブリックコメントの提出書式がわかりにくいときは,こちらを参考にしてくださいhttp://publiccomment.seesaa.net/article/774445.html
*3 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/04093001/002.htm
*4 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B9またはhttp://msfile.hp.infoseek.co.jp/txt/txt13.html

 この稿未完.今後追加すべき項目があれば,順次書き足していきます.

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コメント

トラックバック送ってくださった方々へ.

ありがとうございますm(_ _)m
みなさんに関心を持っていただけてうれしいです.10月21日までもう少し時間がありますので,こちらをご覧になられた方のうち,ひとりでもパブリックコメントを文化庁に送っていただければ,図書館業界の幸いのみならず,著作物を公正に利用する方々の幸いでもあります.
意を尽くせませんが,これからもよろしくお願いいたします.

>>謎工さん

いろいろありがとうございました&お疲れさまでした.小倉弁護士のblogは,大変参考になりました.わたしの出したパブリックコメントに反映できず残念だった部分もありましたが(>_<).

これからもよろしくお願いします.

この記事へのコメントは終了しました。

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