「図書館界」56巻3号
で,今日届いた「図書館界」56巻3号.
特集は「誌上討論:現代社会において公立図書館の果たすべき役割は何か」この御題に対する回答者(?)は根本彰,塩見昇,田井郁久雄,明定義人,糸賀雅児の諸氏.御題への回答者としてはいずれが勝るとも劣らぬ一騎当千の猛者揃い,なのだが,如何せん御題の筋が悪い(^^;).
冒頭,編集委員会による「問題提起及び論点整理」があるのだが,これによると検討すべき課題は次の3点(p158).
1. 『市民の図書館』の歴史的評価
2. 貸出中心のサービスへの考え
3. 資料購入のあり方
この御題の問題点は1.の取り扱いに集約されている.ここでは,1.を考える上での論点は次の3つだとされる(p159).
1) 貸出しは,図書館サービスの基礎として最も重要なサービスである.
2) そうではなく,その基礎のうえに加える別のサービスのほうが重要である.
3) そもそも図書館サービスの意義は,貸出しとは別のところにある.
何かおかしくないか(^^;).例えばG.C.W.氏などが主張しているのは,貸出は他のサービスと同様に,公共図書館における資料提供の一手段でに過ぎない,ということである.そもそも「貸出」を他のサービスと切り離して意義付けるあり方がおかしいと思っているのだが,この論点の建て方はまさに他の図書館サービスと冠絶するサービスとしての「『貸出』神話」の創出(=日本図書館研究会読書調査研究グループへの支持)が念頭にあるとしか思えないのだが如何.
2.と3.は1.の応用問題である.
で,明日以降,この御題に回答者がどのような答えを出しているか,見ていくことにする.
・・・・・・・・・しかし,「貸出しを重点とすることによっては専門職として認められないのではないかという不安感」(p159)って,あなたねえ(>_<).今どき,「貸出」で専門職として認められたい図書館司書なんているんですか.認められたい当人には悪いけど,そんな意識で図書館に勤めたいなんて「おめでたい」としか思えません.
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