出版ニュース2004年6月下旬号
「出版ニュース」2004年6月号が届いていたのを紹介しなければ.
巻頭のコラム〈こうせい〉で早速に今次著作権法改正,就中書籍・雑誌への「貸与権」の付与が認められたことが取り上げられている.その一節「問題は貸与権が成立したことで,コミックレンタル店がどうなるかだが,(中略)新規参入が急増して,レンタルコミックブームが起こるかどうかである」(p5)ふーん.
貸与権に関しては,日本雑誌協会・日本書籍出版協会の共同声明が掲載されている(p18).締めくくりの文「一方で,出版社の権利問題につきましても貸与権の付与を契機に前進させたいと存じます」ほー.
今日届いた「季刊本とコンピュータ」2004年夏号にあった日本出版著作権協会の記事でも出版社が著作隣接権を確保したいという話が出て来る.これは要するに,永江朗氏が同じ「本コ」に書いている(〈出版社はなぜ,潰れないのか?〉p24-32)ように,旧態依然のビジネスモデルというものの勤続疲労が明らかになっているにもかかわらず,それに固執して更にそこから何とかしてアガリを収奪しようと必死になっている,としかG.C.W.氏には見えないわけ.
奇しくも海野弘氏が同じ「本コ」のコラムで「1938年」を取り上げている.現在のビジネスモデルの根本は1938年に成立した国家総動員法の下で整備された流通機構が背骨になっているわけで,ここが壊滅的な打撃を蒙らない限りは,寿命の尽きたビジネスモデルを延命させ,かつアガリを搾り取ろうとする動きはやまないんじゃないだろうか.
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