静粛に!
天才只今勉強中.
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ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@ジョージ・セル/クリーヴランド管絃楽団(ソニー:SBK 46533)
1961年8月21日・22日の録音.
バリトン独唱はドナルド・ベル.これほど硬派な解釈も珍しい.そこかしこオーケストレーションに手が入っていて,実にマッチョで筋骨隆々逞しいベートーヴェンである(^^;).典型が第1楽章展開部のクライマックスで,ティンパニが延々と波状攻撃を仕掛ける中,金管が突進するという,凄まじい展開を聴かせる.終楽章の冒頭も金管吹きまくり.面白いのは終楽章のトルコ風行進曲が始まる直前のフェルマータで,合唱ばかりか全楽器がフォルティッシモで伸ばすところ.他にもあちこち金管で補強しすぎなんじゃあないかしら? と言いたくなるほど補強しているが,セルはストコフスキーのようにマジックを仕掛けようとしているのではなく,背骨をよりたくましく聴かせたい故の補強なので,演奏自体は清潔で無駄なく引き締まったものである.
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ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@オスカー・フリート/ベルリン国立歌劇場管絃楽団(パール:GEMM CD 9372)
1928年の録音.ポリドール原盤.
マーラー好きにはおなじみのオスカー・フリート(1871-1941)による「第9」である.バス独唱はヴィルヘルム・グートマン,合唱は戦前人気のあったブルーノ・キッテル合唱団.
実にすいすいと流れる演奏で,アンサンブルの乱れなどおかまいなしに,どんどん前へ進む(^^;).なるほどあらえびすが「多少イージー」と評したことはあるな.そつなくまとめるどころか,あちこちに「そつ」がある演奏だが,それでも巧くまとめあげているように聴こえるところが,フリートのフリートたるところか.
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ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@エーリヒ・クライバー/ヴィーン・フィル(デッカ:425 955-2)
1952年6月の録音.
バス独唱はルートヴィヒ・ヴェーバー.威風堂々と見せかけて,実は小技が効いている(^^;)演奏のような気がする.終楽章の冒頭以外では,オーケストレーションもあまり手を入れてないようだし.
前3楽章は素晴らしい演奏なのだが,終楽章が少々せせこましく,スケール感が足りないのが,とにもかくにも惜しい.それこそ押し出し満点でやればよかったのに,考えすぎたのか,あちこちテンポやバランスを動かしすぎて,いたづらにスケールが小さくなってしまったのが何とも残念.
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ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@カール・ベーム/ヴィーン・フィル(DG:POCG-2693)
1980年11月の録音.
バス独唱はヴァルター・ベリー.発売当時,「ベーム最後の録音」ということで売り出されたのだが(このCDのジャケット写真ではない,別の写真がジャケットを飾っていたが,何とも好々爺な表情のベームが写っていたのが印象に残っている),残念ながらここにはベームの残骸しか聴けないのが悲しい.テンポもアンサンブルも弛緩していて,往年のきびきびとしたベームの演奏からは程遠い.ベームの真髄を聴くなら,別の録音を探した方がいいだろう.
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ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@デイヴィッド・ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管絃楽団(アルテ・ノヴァ:BVCE-38013)
1998年12月12日-14日の録音.ベーレンライター新原典版を使用.
バス独唱はデトルフ・レート.だいたいアルテ・ノヴァに録音されたジンマンのベートーヴェンは,ピアノ協奏曲はまだしも,交響曲の録音はいささか勇み足なところがあって理解の外(^^;).ところがこの第9はそれもなく,軽快に脱・楽聖な演奏だなあ,と思っていると,こともあろうに第4楽章のキモのひとつ,最初のバス独唱でやってくれるのだから,ジンマンはあなどれない(>_<).偶像破壊もいいけど,そんなお手軽に「即興」などやってもいいものか,こともあろうにベートーヴェンで.
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ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@フィリップ・ヘレヴェッヘ/エリゼー宮管絃楽団(ハルモニア・ムンディ・フランス:HMC 901687)
1998年10月の録音.
バス独唱はディートリヒ・ヘンシェル.ベーレンライター社の新原典版による演奏で,第3楽章が12分26秒というのは,古楽派にはありがちなこと(^^;).とにかく明晰で,にごりのないアンサンブルはすがすがしい.歌詞が聞き取りやすいのも特徴かと.
その代わり,明晰すぎる故に陰影,あるいは間が乏しいのは止むを得ないところだろう.ほとんど見得も切らないし,タメもないし,そのあたり好みの分かれるところかもしれない.
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ベートーヴェン/交響曲第9番ニ長調作品125@イゴール・マルケヴィチ/ラムルー管絃楽団(フィリップス:PHCP-20411)
1961年の録音.
バス独唱はハインツ・レーフュス(Heinz Rehfuss).何でもマルケヴィチはこの録音を含むベートーヴェン全集を製作している最中にオケと決裂してしまい,この全集録音は途中で打ち切られてしまったとか.この演奏でも,テンポは中庸を保っているが音響はエッジが効いており,ビシッと打たれるアクセントが効果的.曖昧なところのない,引き締まったアンサンブルを聴かせる.ところどころマルケヴィチがオーケストレーションに手を入れているようで,一般的な解釈では聴くことの出来ない響きが聴けるのも興味ぶかい.
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ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@ギュンター・ヴァント/ケルン・ギュルツェニヒ管絃楽団(テスタメント:SBT1287)
1955年10月10日の録音.モノラル末期の明瞭な音で,結構細かいリズムまで拾っている.
バス独唱はルドルフ・ヴァッケ.ヴァントの40代前半の仕事だが,既に「ベートーヴェンは素晴らしい音楽だから斯様に演奏する」という確信がヴァントにはあったのか,毅然とした芯が通っている.颯爽とケレン味なく進行するザッハリヒな演奏である.しかし,音楽や聴き手を突き放したところはまるでない.第3楽章も美しく17分以上かけているが,地獄の釜の蓋を開けたような演奏ではない(^^;),天上や地獄の音楽ではなく,実に人間的な地上の演奏である.
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ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@セルジュ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィル(EMI:TOCE-55045)
1989年3月の録音.
バス独唱はペーター・リカ(Peter Lika).テノールが妙に苦しいなあ,と思ったらジークフリート・イェルザレムでさもありなんと.チェリビダッケは1970年代のあるインタビューで「ベートーヴェンのエロイカや第9は終楽章が失敗作なので振らない」と豪語していたはずなのだが,何故かEMIから出たミュンヘン・フィルとのライヴ録音ではベートーヴェンの交響曲全曲が揃うという不思議(^^;).もちろん,チェリビダッケは周囲の雑音など気にも留めない,いつものチェリビダッケで,柔らかめのアクセントを利かせながらの,晩年の様式である遅いテンポ.第1楽章の停めの音が柔らかく「フッ」という感じで終わるのも,如何にもである.しかし,何もかもを包み込むような柔らかさを醸し出しながら,実はすべてを拒絶して独歩の世界を築いているのが,この指揮者の流儀か.
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ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管絃楽団(EMI:7 63359 2)
1957年10月と11月の録音.
バス独唱はヴァーグナー歌手として鳴らしたハンス・ホッター(1909-2003).遅いテンポでゆっくりとかみしめるように進行するが,決して弛緩することなく高い緊張感が貫かれている.オーケストレーションはいじってないようなので,例えば第2楽章では第2主題をホルンが吹かない(^^;).また,繰り返しが励行されていて,第2楽章主部Bの繰り返しも行われているが,いちいち説得力のある解釈である.圧巻はやはり終楽章.不撓不屈のテンポでがっちりと固められた頑固な造型が,やがて巨大な大伽藍になって眼の前にそびえ立つ.何度聴いても圧倒される.素晴らしい.
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